社長ブログ
2015年05月01日

「あどけない話」高村光太郎

智恵子は東京に空が無いといふ。
ほんとの空が見たいといふ。
私は驚いて空を見る。
桜若葉の間に在るのは、
切っても切れない
むかしなじみのきれいな空だ。
どんよりけむる地平のぼかしは
うすもも色の朝のしめりだ。
智恵子は遠くを見ながらいふ。
阿多多羅山の山の上に
毎日でてゐる青い空が
智恵子のほんとうの空だといふ。
あどけない空の話である。


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